「検索したレシピを見ながら作ったら、うまく作れなかった」……なんて経験はありませんか? 逆に、自分が書いたレシピに「おいしくない」とコメントをもらっちゃったことは?
それ、料理自体はおいしいのに、「レシピのせい」で失敗したのかもしれませんよ。実は料理レシピって、全員に「伝わる」ように書くのはとてつもなく難しい! 読み手に「誤解されないレシピ」を書くために、注意すべきポイントがあるんです。
書籍や雑誌で、編集者として10年以上料理レシピに関わる中で私が学んだ、伝わる「レシピの書き方」をお伝えしたいと思います! SNSやWebサイトでレシピを発信される方、参考になったらうれしいです!
料理のプロが、レシピのプロとは限らない!
書籍に掲載されている料理研究家のレシピ、実は本になるまでに何人もの「プロ」の目を通して整えられたものです。編集者、ライター、校正者……。徹底的に「間違い」「わかりづらさ」をなくした状態なのです。
調理器具、火力、レンジやオーブン出力だって、家によって違います。それでもできるだけ、同じ料理を再現できるように、言葉で表現したものがレシピ。あいまいな表現だったり、間違いがあったりすれば、「おいしく作れなかった」という感想につながるのも無理はありません。
料理研究家にも、正直、レシピが苦手な先生はいらっしゃいます(笑)。それでも、何人もの人の目を通したり、試作を繰り返したりしながら、「伝わるレシピ」に仕上げています。
「料理のプロでさえ難しいなら、自分には無理かも」とあきらめないでください!
SNSやWebサイトでレシピを発信する際、典型的な間違いパターンに陥っていないかチェックするだけでも、精度は格段にアップすると思います。以下、気を付けたいことをまとめてみたいと思います!
意外と多い、材料欄の間違い。トラブルにつながることも
おいしく作れないレシピで、最もスタンダードな原因といえば材料欄のミス。
以前、あるレシピをチェックしたとき、材料欄で「鶏もも肉200g」が「鶏もも肉2000g」と書き間違えられていて、コーヒーを吹き出しそうになったことがあります。
鶏もも2kgって、一体、何人分の料理ですかーっ!?
このように、「ゼロ」ひとつで大事件になりがちなのが、料理レシピです。分量を正しく表記する、というのは基本中の基本ですが、ほかにも「味が変わってしまう」よくありがちなミスといえば……
●「大さじ」と「小さじ」の間違いは、命にかかわることも!
たった一文字違いの単純なミスのようですが、「大さじ」と「小さじ」を間違えると、人によっては健康被害につながります。
本来は「小さじ1」なのに、「大さじ1」と間違ったレシピ通りに入れてしまったら!? 病気で塩分や糖質を控えなければならない方にとったら、深刻な問題です。必ず見直してチェックしたいポイントです。
●書体のせいで生まれる「誤解」を防ぐ
普段あまり気にしないかもしれませんが、「書体のクセ」が誤解を招くことがあります。
例えば「2リットル」の記号をアルファべット表記したいとき。書体によっては「2l(←小文字のエル)」となり、数字の「21」に見えてしまうことも。
こんなときは「リットル」とカタカナで書いたり、「L」と大文字表記にするといいですよ!
●肉や野菜の量は「個」?「g」?
肉・魚や野菜は個体差が激しいので、同じ「1個」でもgで見ると大きな差を生じることがあります。すると、必要な調味料の量が変わってしまって、「おいしくない」事態を招くおそれも。
「でもさー、『にんじん200g』って書かれるよりも、『にんじん1本』のほうがわかりやすくない?」
……そうなんですよねー! だから、両方書くことをおすすめします。
「にんじん1本(約200g)」といった感じに書くのはどうでしょう?
●調味料の「適当」と「適量」は、別モノです!
ネットのレシピでときどき「適当」という材料表をみかけます。編集者的には、書籍をつくる際に「適当」という文字をみつけたら、全部つぶします(笑)!
「適当」という言葉には2種類の意味があって、①ちょうどいい程度 ②いいかげん という真逆の使い方をします。
レシピ的には①の意味で使っているとしても、②のほうの意味にもとれるので、NGなのです。いいかげんに、雑な分量で調味料を加えてしまったら、味は変わってしまう!
①の意味で使いたいときは「適当」ではなく、「適量」に書き換えるといいですよ!「適量」というのは、「作る人の好みで増減してもOKです」という意味です。
「作り方」のプロセスで、書き忘れがちな表記は?
作り方プロセスを書くときに、省略されがちな項目があります。でも料理によっては忘れずに表記しないと、「おいしく作れないレシピ」になってしまうことも。いくつか挙げてみたいと思います。
●「火かげん」が2種類以上出てくるときは注意!
レシピで省略されがちなのが「火かげん」の表記。書籍を作るときは、本の最初か後ろに「火かげんは特に表記がなければ『中火』です」などと注釈をつけます。裏返して言えば、「中火以外のときは、書かないとダメ!」
弱火やとろ火で調理しないといけないときや、強火で一気に水分を飛ばしたいとき、単に「火にかける」という表記だと「中火」と判断されます。
レシピに出てくる加熱の際にすべて中火で調理するときは、火かげんは特に表記しなくてもいいかなと思います。でも1つのレシピの中に2種類以上の火かげんが出てくるときは、中火も表記したほうがわかりやすいです!
●「いつまで続けるか」の目安を明記してほしい
煮る、焼く、かき混ぜる……プロセスに出てくる動作は、どのくらいまでやるべきかの表記が書かれていないことが多々あります。できあがりの料理写真から判断できるならまだいいですが、そうでない場合は、ぜひ教えてほしい!
「分数」もしくは「状態」で書くとわかりやすいと思います。「約10分」「軽く焼き目がつくまで」「泡がぷつぷつと出てくるまで」「端がめくれてくるまで」など。
●煮汁などをとっておくときは、先に言ってくれないと困る!
作業工程の中で出たものを「再利用」することありますよね。例えば、下ゆでに使ったお湯をあとでスープに加える、干ししいたけを戻した水をあとでだしに使う、フライパンに染み出た肉汁をあとでソースに使う、パスタのゆで汁をあとでソースに加える、といった場合です。
その際は、必ず再使用素材が「出てきた」時点で「のちに使用するのでとっておく」などと注釈を入れてください!
これを忘れて「再利用」するときに「先ほど下ゆでに使った湯を大さじ1ほど加え、」などと書いてあっても既に手遅れ。「もう捨てちゃったよ! じゃ、お湯で代用すればいいや」ということになると、「おいしくない」評価を招くできばえになってしまうかもしれません。
文章的には何の問題もなさそうなレシピも、実際に作ってみると「あれ? これどうするの?」と手が止まってしまうことが意外とあります。
自分が書いたレシピをチェックするには、まっさらな気持ちで(なんなら別人のつもりで)、レシピの文字情報だけをたよりに再度作ってみることをおすすめします!
▼あわせて読みたい(シリーズ第2弾)


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